アポロ計画がどれほど偉大なものであったか
「私の息子は、40歳になる前に月を歩くの。」
もしも、ニール・アームストロングの母親が、彼が生まれた年である1930年にそのようなことを言ったら、誰もが相手にしなかっただろう。
1930年。世界大恐慌の真っ只中。
27年前にライト兄弟が人類史上初の動力飛行に成功し、そしてわずか3年前にリンドバーグが大西洋横断飛行に成功したばかりだった。
宇宙に動物はおろか、いかなる物体も飛ばしたことはなかった。
そんな時代に、わずか39年後に人類を月面に送り込むことができるようになるなんて、
一体誰が想像できただろうか。
月は、地球から太陽の次にはっきりと確認することができる。
しかし、どれだけ手を伸ばそうと、そこに到達することは絶対にできなかった。1969年より前の地球生命は。
わずか300年ちょっと前に、ガリレオ・ガリレイはコペルニクスの地動説を主張し、有罪となった。
300年ちょっとという長い歴史から見れば、一瞬とも言える短い期間に、人類は地球が宇宙の中心にあるのではないということを知り、蒸気機関によりとてつもない力を手に入れ、鳥でもないのに空を飛び、月に人類を送り込むまで科学技術を発展させたのだ。
これは、本当にすごいことである。いくら第二次世界大戦やその後の冷戦による軍拡競争があったからとは言え、ここまで短期間に科学技術を発展させるとは、まさに指数関数的スピードの進化である。
今でも人類最大の偉業だと言われることも多いアポロ計画。
科学の進歩の歴史を見れば、1969年に人類を月に送り込むことがどれだけ奇跡的なことであったかわかるだろう。
そして、アポロ計画において、私が生まれるよりずっとずっと前にアポロ11号が月に行ったという事実を知り、生きている間に月に行くということが私の生きる目標になった。
最低でも地球軌道上で良いから宇宙には行きたい。可能ならば、月を歩いてみたい。
願わくば火星に行って、青い夕日をこの目で見てみたい。
宇宙飛行士としてではなく、民間人の宇宙旅行者として。
ある日、そう心に誓ったのであった。